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執筆者の写真冨樫 耕平

児童養護施設

以前、児童養護施設にて研修とコンサルテーションを実施させていただきました。

児童養護施設からのお仕事のご依頼は初めてで、大変貴重な経験となりました。


児童養護施設とは、児童福祉法に定められた児童福祉施設であり、

施設の入所手続きは、都道府県等に設置されている

児童相談所が公的責任のもとで行われています(全国児童養護施設協議会)。


児童養護施設に来る子ども達は、様々な背景をもっていて、

たとえば、家庭で虐待を受けたり、

十分な食べ物などをもらえないなどの理由で

保護された子ども達などが、児童養護施設に来ることがあるそうです。


2022年3月の時点で、児童養護施設は全国に610か所あり、

約23,000人の子ども達がそこで暮らしていました。

過去20年ほどの児童養護施設の設置数をみると、

増加傾向にありますが、

日々、たくさんの子ども達が保護されています。

結果、定員オーバーの児童相談所が存在し、

児童養護施設などに行くことができない

子ども達がたくさんいるというのが現状のようです。


児童養護施設などで暮らす子ども達のなかには、

過去の辛い経験などによって、

様々な対応が難しい行動を示す子ども達もいるようです。

このような対応には、専門的な知識やスキルが欠かせません。


児童養護施設で働く職員の方々の多くは、

「自分」ではなく、子ども達のために日々、奮闘されています。

そして、子ども達との生活における様々な対応に加えて、

難しい行動の対応、人手不足など、

かなり過酷な環境でご活動されています。

そのような過酷な環境でお仕事をされているうちに、

体調を崩してしまう職員さんもたくさんいらっしゃるようです。

自分よりも他者を大事にできるからこそ、

無理をされてしまう方々もきっと多くいらっしゃるのだと思います。


さらに、児童養護施設の職員には、

子ども達と暮らしながら、

人手が足りない環境において、

様々な対応(たとえば、料理、子どもとの遊び、

掃除、買い物、学校対応、習い事などの送り迎え、

子ども同士のトラブルの対応など)が求められます。

複数の子どもに対して、職員がひとりで対応を行うこともあるので、

一般的な育児の何倍も大変かもしれません。

職員への負担が大きいため、離職率も高く、

効果的な職員育成も求められています(古村他、2017)。


応用行動分析学の目的は、

行動の原理とそこから導き出された戦術を使って

社会的に重要な行動や課題を解決することです(Baer et al., 1968)。

実際に、米国での応用行動分析学の発展の歴史をみても、

応用行動分析学の偉人立達(たとえば、BaerやBijou)は、

当時存在した、様々な社会的に重要な行動や課題に

徹底的(radical)に取り組みました。

このような行動分析学の偉人達の活動や、

そのほかの、他者のために全力で力を尽くした

数多くの行動分析学の実践者達の活動がなければ、

現在の米国における応用行動分析学に関わる様々な現状

(法律、保険制度、支援体制など)は存在しなかったでしょう。


もしかすると、今、日本で活動する

応用行動分析学の実践者達が取り組むべき

社会的に重要な課題のひとつは、

行動の原理を使って、児童養護施設で暮らす子ども達と

大人(職員)達が直面している

様々な課題解決のお手伝いではないでしょうか。

たとえば、行動の機能に基づく介入の計画と実施、

行動の原理を活用したスタッフトレーニング、

行動システム分析(Behavioral Systems Analysis)を使った

職員の方々が、安全かつ、効果的効率的に連携を図りながら

働ける組織の仕組みのデザインなど、

応用行動分析学の実践者が

専門性を発揮できる機会に満ち溢れていると感じます。


時々、児童養護施設での求人を掲載・紹介しています。

このような活動にご興味のあり、

大変なお仕事だけれども

子ども達の利益と権利を守るために、

応用行動分析学を実践をされたい方は、

是非、求人をご覧ください。


私自身も質の高い

応用行動分析学の実践の普及を目指して、

様々な活動をしていますが、

児童養護施設に関する現状を知り、

少しでも私にできることをしたいと考えています。

児童養護施設に関わる法律や

制度の改善も必要不可欠だと感じています。




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