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「自分で考えて動ける職員」はどう育てる?(PART 2)― 弁別訓練から、現場での実践と維持まで ―
前回のブログでは、単に「自分で考えて行動する」だけでなく、 状況の違いを見分け、その状況に応じた 適切な行動を選択できることの重要性について書きました。 これは、福祉・医療・教育などのヒューマンサービス組織をはじめ、 さまざまな組織で求められるスキルです。 前回紹介した、軍事組織における Mission Command(ミッション・コマンド)にも、 共通する考え方があります。 現場の隊員や指揮官が、上位者からの細かな指示を待つのではなく、 任務や指揮官の意図を踏まえ、 その場の状況に応じて判断・行動することが求められます。 では、そのようなスキルをどのように教えればよいのでしょうか。 そのカギの一つが、行動科学における「弁別訓練」です。 弁別訓練とは何か 弁別訓練(discrimination training)とは、 「ある刺激が存在するときには反応を強化または弱化し、 別の刺激が存在するときには、 その反応を消去または回復させる手続き」です (Malott & Kohler, 2021, p. 268)。 少し専門的な定義ですが、 強化を用い

冨樫 耕平
15 時間前読了時間: 8分


「自分で考えて動ける職員」はどう育てる?(PART 1)― 主体性を「行動」から考える ―
「自分で考えて動ける職員を育てたい」 これは、多くの組織で聞かれる課題ではないでしょうか。 たとえば、福祉や医療、教育などのヒューマンサービス組織では、 あらかじめ決められた手順をただ実行すればよいとは限りません。 支援を受ける方(クライアント)の行動や状態、 そのときの状況、さらには本人の好みや文化などに応じて、 職員がその場で判断し、適切な支援を実行することが求められます。 先日、ある組織の人材育成に携わる方とお話しする機会がありました。 その際にも、「自分で考えて行動できる人材をどう育てるか」という話題になりました。 これはヒューマンサービスに限った課題ではありません。 たとえば、米国陸軍では、 Mission Command(ミッション・コマンド)という 指揮統制の考え方が重視されています。 これは、上位の指揮官が現場の行動をすべて細かく指示するのではなく、 任務や指揮官の意図(commander's intent)を共有したうえで、 現場の状況に応じた部下の意思決定と分権的な実行を可能にするものです。 つまり、上位者からその都度細かな指

冨樫 耕平
5 日前読了時間: 5分


パフォーマンスを測ることへの3つの「壁」― 行動の科学を組織の改善に活かすために
行動の科学を活用してパフォーマンスを改善するためには、 重要な成果につながる行動(パフォーマンス)を 客観的に測定することが欠かせません。 しかし、コンサルティングのなかで測定について話をすると、 次のような意見が出てくることがあります。 従業員から抵抗がある 測定する時間がない 「私がしていることは、客観的に測定できない!」 今回は、この3つについて考えてみます。 ① 従業員からの抵抗 重要な成果につながるパフォーマンスを特定した後、 現状を把握し、その現状に合わせた目標を設定するために、 パフォーマンスを客観的に測定します。 しかし、誰かに仕事をしている様子を観察されたり、 自分の行動を測定されたりすること自体に対して、 観察の対象となる従業員から反対意見が出ることがあります。 以前のブログでも書いた通り、 このような反応が起こる理由の一つとして、 多くの職場で「観察」が、ミスの指摘、問題点の確認、 改善点についての指導などと結びついていることが考えられます。 そのような場合には、測定や行動の観察が、 ミスやルール違反を見つけて批判するための

冨樫 耕平
9月9日読了時間: 7分


「本人に頑張ってもらう」だけでは、なぜ組織は変わらないのか ― TPSから考える、人のパフォーマンスを支える仕組み ―
病院、発達支援施設、児童養護施設、学校などの ヒューマンサービス組織では、 人のパフォーマンスに関するさまざまな課題が起こります。 職員の離職が続く 優秀なプレイヤーが、なかなかリーダーに育たない 研修で教えたことが現場に定着しない 過度な負担によって、職員が働き続けることが難しくなる こうした問題が起きたとき、 私たちはその原因を「人」に求めてしまいがちです。 「やる気が足りない」 「我慢が足りない」 「研修で教えたのに実践していない」 「リーダーとしての自覚が足りない」 しかし、本当に個人だけの問題なのでしょうか。 「研修したから、できるはず」という前提 組織で行われているパフォーマンス改善の取り組みを見ると、 個人を対象としたものが少なくありません。 例えば、プレイヤーをリーダーへ育てるために、 リーダーシップ研修を実施するとします。 研修では、 部下との面談方法 フィードバックの方法 部下の育成方法 などを教えるかもしれません。 もちろん、研修は重要です。 しかし、 「研修で教えた」=「職場で実践できる」 ではありません。 行動分析学では

冨樫 耕平
9月4日読了時間: 8分


人が辞め続ける組織で、支援の質を守れるのか― 支援現場における離職と従業員満足度を考える ―
私はこれまで、病院、大学、発達支援施設、学校など、 さまざまな現場で活動してきました。 こうした組織には、一つの大きな特徴があります。 そこで働く人の知識やスキルが、 提供されるサービスの質に大きく関わっていることです。 新しいソフトウェア 高性能なPC 最新の検査機器 こうした設備や技術は、もちろん重要です。 しかし、資金さえあれば、競合する組織も同じものを導入できます。 一方、長い時間をかけて知識やスキルを身につけ、 その組織や利用者について深く理解している人材は、簡単には置き換えられません。 特に、人が人にサービスを提供する学校、福祉施設、医療機関などでは、 人材は組織にとって最も重要な資産の一つだと私は考えています。 「辞めたら、また採用すればいい」でよいのか しかし、学校、児童養護施設、発達支援施設など、 多くの支援現場では、人材の定着が大きな課題になっています。 もちろん、一定の離職はどの組織にも起こります。 問題は、 採用する ↓ 訓練する ↓ 仕事を覚える ↓ 辞める ↓ また採用する というループが繰り返されることです。...

冨樫 耕平
8月27日読了時間: 6分


現場を歩くだけでは、良いマネジメントにはならない― OBMから考える Management by Walking Around ―
組織の管理者にとって、 普段から従業員と関わり、コミュニケーションを取ることは重要です。 例えば、 朝礼で素晴らしいスピーチをした。 全職員にメールで指示を送った。 方針を会議で説明した。 それだけで、「管理者として十分な仕事をした」と考える人は、 あまりいないでしょう。 実際の仕事が行われている現場に足を運び、 そこで何が起きているのかを知ることも重要です。 私自身、カリフォルニア州の自閉症支援センターで クリニカル・スーパーバイザーとして勤務していたときには、 毎日できる限り現場に足を運び、 チームメンバーが子どもたちへ支援を提供する様子を 直接観察していました。 そして、スタッフからの相談や疑問に答えたり、 実際のパフォーマンスを観察したうえで、 フィードバックを行ったりしていました。 「現場を歩く」というマネジメント(MBWA) このように、管理者が自分のオフィスにとどまるのではなく、 現場へ足を運び、そこで働く人たちと 形式ばらずに関わるという考え方は、新しいものではありません。 例えば、ユナイテッド航空のCEOを務めたEdward C

冨樫 耕平
8月20日読了時間: 5分


組織の「成果」だけを測っていませんか?― OBMから考える、成果を生み出す行動の測定 ―
データは、組織行動マネジメント(OBM)を含む 科学的な実践に欠かせません。 しかし、「データを取ること」自体は、 すでに多くの組織で行われています。 売上 生産量 顧客数 離職率 事故件数 こうしたデータの多くは、 組織が生み出した成果(results)に関するものです。 もちろん、成果を測定することは重要です。 しかし、OBMでは成果だけではなく、 その成果を生み出す人の行動にも注目します。 成果を生み出しているのは、人の行動 組織の成果は、突然生まれるわけではありません。 そこには、人の行動があります。 例えば、売上という成果の背景にも、 顧客へ連絡する ニーズを聞く 商品やサービスを説明する 見積書を作成する 顧客からの問い合わせに対応する といった、さまざまな人の行動があります。 さらに、組織の成果の多くは、 一人の一つの行動によって生み出されるものでもありません。 複数の人のさまざまな行動と、 その結果生み出されたものが組み合わさって、 最終的な組織の成果へとつながっています。 だからこそ、OBMでは、「どのような成果が出たのか」だけ

冨樫 耕平
8月18日読了時間: 5分


データをたくさん集めれば、組織は良くなるのか― AI時代だからこそ重要になる「何を測るか」という問い ―
技術の進歩によって、データを収集することは、 以前よりもずっと身近になりました。 例えば、AIを活用して人の行動を測定したり、 膨大なデータの中から意味のあるパターンを 見つけたりすることも可能になっています。 組織の管理者や経営者であれば、 意思決定や改善におけるデータの重要性を 実感している方も多いでしょう。 しかし、ここで一つ重要な問題があります。 「測定できるものが増えた」ことと、 「測定すべきものが分かる」ことは、まったく別です。 取得できるデータがたくさんあり、 AIなどを使って比較的低いコストで分析できるようになったからといって、 とにかく多くのデータを集めればよいわけではありません。 大切なのは「測れるもの」ではなく「測るべきもの」 Brown(2000)は、 組織におけるパフォーマンスの測定について、 組織の成功に必要な要因、すなわち 主要なビジネスドライバー(key business drivers)と 結びついていることが重要だと述べています。 また、重要性の低い多数の変数を測定するのではなく、 本当に重要な少数の主要変数(

冨樫 耕平
8月16日読了時間: 4分


プレーヤーからコーチへ:フィードバックという技術― 人を育てるコーチが知っておきたい行動科学 ―
前回の記事では、 現場で成果を出す「プレーヤー」から、 人を育てる「コーチ(指導者)」への成長について書きました。 プレーヤーとして仕事ができることと、 人を効果的に育てられることは同じではありません。 では、コーチにはどのようなスキルが必要なのでしょうか。 その一つが、フィードバックです。 フィードバックは、組織における パフォーマンスの維持・改善に欠かせません。 しかし、効果的なフィードバックの方法を学ぶ機会がないまま 指導する立場になり、うまくいかないケースも少なくありません。 フィードバックには2つの種類がある フィードバックには、2つの種類があります(Braksick, 2007): ポジティブフィードバック(positive feedback) 建設的フィードバック(constructive feedback) ポジティブフィードバックは、 望ましい行動を認め、その行動の増加や維持につなげるために行います。 一方、建設的フィードバックは、 改善が必要な行動について伝え、望ましくない行動を減らし、 それに代わる望ましい行動を増やすために

冨樫 耕平
8月8日読了時間: 5分


プレーヤーからコーチへ― 指導者が育たない組織に共通する課題とは ―
プレーヤーからコーチへの移行は、組織にとって重要な課題 多くの組織では、現場の仕事ができる職員に対して、 「新人や後輩を効果的に指導できる人になってほしい」と期待しています。 つまり、優秀なプレーヤーから、優秀なコーチ(指導者)への成長です。 しかし、このような移行がうまくいかない組織は少なくありません。 指導者が育たなければ、一部のベテラン職員に負担が集中します。 その結果、外部研修に頼らざるを得なくなったり、 限られた指導者が疲弊し、バーンアウトのリスクが高まったりします。 また、現場の仕事ができるようになった職員が、 「自分はもう十分できる」と感じてしまえば、 継続的な成長も止まってしまいます。 さらに、効果的な指導方法を知らないまま指導する立場になると、 曖昧な指示や精神論、叱責を中心とした 非効果的・効率的な指導が行われることがあります。 その結果、新人職員が十分に成長できなかったり、 ストレスを抱えたり、場合によっては 休職や離職につながることもあります。 なぜ優秀なプレーヤーは、優秀な指導者になれないのか 理由はさまざまですが、大き

冨樫 耕平
8月3日読了時間: 5分


理論を「実践」に変える科学― 行動分析学が半世紀以上成果を生み続ける理由 ―
「理論はわかった。でも、現場ではうまくいかない」。 教育、医療、福祉、企業など、 さまざまな現場で耳にする言葉です。 優れた理論があっても、 それだけで人や組織が変わるわけではありません。 では、理論を実践につなげるには、何が必要なのでしょうか。 以前の記事でご紹介したように、 科学には大きく三つの理解の水準があります。 記述(Describe) 予測(Predict) 統制(Control) 行動分析学が目指しているのは、この三つ目である統制です。 つまり、「なぜそうなるのか」を説明したり、 行動を予測したりするだけでなく、望ましい行動を実際に増やし、 その変化を客観的に示すことを重視しています。 この考え方は、応用行動分析学(Applied Behavior Analysis: ABA)の 中核でもあります。 ABAでは、基礎研究によって明らかになった、 生物種を超えて共通する行動の原理を活用し、 社会的に重要な行動の改善に取り組んできました。 例えば、自閉スペクトラム症や 知的発達症のある子どもたちへの支援では、 日常生活に必要なスキルを効

冨樫 耕平
7月31日読了時間: 3分


「Employee of the Month」は、本当に人を育てるのか― ABA・OBMから考える表彰制度 ―
多くの組織では、優れた従業員を表彰する制度があります。 「Employee of the Month」 「優秀社員賞」 「Teaching Excellence Award」 これらの制度は、優れた成果や望ましい行動を評価し、 そのような行動を増やすことを目的として導入されています。 しかし、本当にその目的は達成されているのでしょうか。 組織行動マネジメント(OBM)の第一人者であるAubrey Danielsは、 著書 Oops! 13 Management Practices That Waste Time and Money の中で、 「Employee of the Month」のような制度には、注意が必要だと指摘しています。 その理由は、一人の従業員だけを表彰すると、 その人の行動は強化される一方で、 他の多くの従業員は強化されないからです。 さらに、「誰が一番か」を競う制度は、 従業員同士の競争を生みやすくなります。 もちろん、適度な競争が悪いわけではありません。 しかし、本来競争すべき相手は、同じ組織で働く仲間ではなく、 組織の外に

冨樫 耕平
7月28日読了時間: 2分


組織改善は、なぜ「行動科学」から始めるのか― 再現できる改善の条件 ―
組織が行うことには、必ず人の行動が関係しています。 会議をする。 AIが出した情報を選択し、共有する。 商品を開発する。 顧客に対応する 新人を育成する。 チームを管理する。 これらはすべて、人の行動です。 そして、それらの行動の積み重ねが組織をつくり、 組織が提供するサービスや製品、そして成果へとつながっています。 だからこそ、組織を改善したいのであれば、 人の行動を理解することが欠かせません。 しかし、理解するだけでは十分ではありません。 本当に重要なのは、人の行動に影響を与えている要因を明らかにし、 それを変えることで、実際に行動を変えられることです。 今日、パフォーマンス向上や組織改善に関する情報や手法が数多く存在します。 しかし、その中には科学的根拠が十分ではないものも少なくありません。 また、人の行動を対象とする科学であっても、 行動を説明したり予測したりすることに重点が置かれ、 実際に行動を変えることまでは目的としていないものも少なくありません。 科学には、大きく三つの理解の水準があるといわれています。 記述(description

冨樫 耕平
7月28日読了時間: 3分


「もっと質問してほしい」だけでは変わらない ― ABA・OBMから考える取締役会の行動デザイン ―
取締役会では、本当に十分な質問が行われているでしょうか。 先日、ある経営者の方から、 「取締役会では前提を疑う質問が少ない」という興味深いお話を伺いました。 例えば、 本当にこのプロジェクトを承認すべきなのか。 他にもっと良い選択肢はないのか。 想定されるリスクは十分に議論されたのか。 このような質問は、企業にとって重要な意思決定を行ううえで欠かせません。 しかし、実際には十分に行われないことがあるそうです。 なぜでしょうか。 その背景には、「質問しない方が得をする」という行動の結果が 存在している可能性があります。 例えば、 質問しなければ会議が早く終わる 他の役員と対立せずに済む 「細かい」「面倒だ」と思われることを避けられる このような結果が繰り返されると、 「質問しない」という行動が維持されやすくなります。 一方で、質問をすることで、 他の役員も同じ疑問を抱いていたことが明らかになったり、 多様な視点から議論が深まったりすることで、 より良い意思決定につながる可能性があります。 では、取締役会で質問する文化を育てるには、 どのような工夫が

冨樫 耕平
7月24日読了時間: 4分


多くの場合、問題は「人」ではなく「システム」にある― DemingとABA・OBMに共通する考え方 ―
「もっと頑張ってほしい」 「もっと責任感をもってほしい」 「なぜ何度も注意しても改善されないのかわからない」 職場で問題が起きると、このような言葉が聞かれることがあります。 しかし、品質管理の第一人者であるW. Edwards Demingは、 多くの問題は個人ではなく、システムに原因があると考えました。 同じ仕事で、同じミスが繰り返されたり、 多くの人が同じようにつまずくのであれば、 それは個人の能力や意欲ではなく、仕事の進め方や教育、 フィードバック、業務プロセスなど、 環境や仕組みに改善の余地があるのかもしれません。 もちろん、特定の人によって問題が引き起こされることがあります。 しかし、失敗する人に問題があると決めつけてしまうと、 本当に改善すべきシステムの問題を見逃してしまいます。 人を責めるのではなく、仕組みを改善する。 この視点は、ABAやOBMにも共通する考え方です。 人が能力を発揮しやすい環境を科学的に設計すること。 それが、私たち行動ソリューションズが大切にしている考え方です。

冨樫 耕平
7月21日読了時間: 1分


観察は『監視』ではない― 行動科学における測定と正の強化の考え方 ―
行動科学を活用して個人や組織のパフォーマンスを向上させるうえで、 客観的なデータは欠かせません。 しかし、「仕事を観察する」、「データを測定する」といった 取り組みを導入しようとすると、現場で抵抗が生じることがあります。 なぜでしょうか? その理由は様々ですが、よくみられる理由のひとつは、 多くの職場で「観察」が、パフォーマンス改善のための指導、 ミスの指摘、問題点の確認などと結び付いているからです。 例えば、上司が現場を観察した後に、 改善点を指摘する ミスやルール違反について指導する 「次から気を付けてください」とフィードバックする といったやり取りが行われることは少なくありません。 また、普段の良い実践には気づかない、 あるいは、十分に見ようとしない一方で、 問題が起こったときだけ「指導のために観察する」という場面も少なくありません。 もちろん、こうした指導が必要な場面もあります。 しかし、観察のたびに改善点や問題点ばかりが取り上げられると、 「観察される=問題を指摘される」という関係が生まれやすくなります。 一方、行動分析学では、...

冨樫 耕平
7月18日読了時間: 2分


なぜ私がOBM(組織行動マネジメント)を学び、実践しているのか
最近、このブログでは、Organizational Behavior Management (OBM:組織行動マネジメント)について書くことが増えています。 「なぜ最近、組織について発信しているのだろう?」 そう感じている方もいらっしゃるかもしれません。 実は、私がOBMに興味を持ったのは最近のことではありません。 2016年、私はフルブライト奨学金をいただき、 アメリカのWestern Michigan University(WMU)へ留学しました。 留学中には、ABAに関する知識やスキルを深めるとともに、 OBMについても体系的に学びました。 当時、私はすでにBoard Certified Behavior Analyst(BCBA)の資格を取得し、 子どもやご家族への支援に携わっていました。 また、医療、教育、福祉の現場で活動する中で、 クライアント一人ひとりに提供される直接支援の大切さを実感していました。 一方で、その頃から私は、もう一つの重要な課題を感じていました。 それは、「支援を届ける人」と「その人たちを支える組織」です。...

冨樫 耕平
7月15日読了時間: 3分


「For」ではなく「With」の組織改善
組織の仕組みを見直す際、「専門家に任せた方が早い」と考え、 コンサルタントに制度や仕組みのデザインを一任するケースがあります。 しかし、私たちはそのような 「for the organization(組織のために行う)」アプローチよりも、 「with the organization(組織とともに行う)」アプローチをおすすめしています。 その理由は、どれほど経験豊富なコンサルタントであっても、 その組織ならではの文化や歴史、人間関係、業務上の細かなニュアンスまで すべてを理解することは難しいからです。 その結果、理論的には優れた仕組みであっても、現場では納得感が得られず、 十分に機能しないことがあります。 一方で、組織のメンバーとともに現状を分析し、課題を整理し、 仕組みを設計していくことで、現場の実情に合った実践的な仕組みを構築できます。 また、自分たちで考え、意思決定に参加した仕組みは受け入れられやすく、 導入後も継続して改善していきやすいという大きなメリットがあります。 効果的なコンサルタントは、答えを一方的に提供する存在ではありません。.

冨樫 耕平
7月15日読了時間: 2分


パフォーマンスを高める組織は、結果だけを評価しない
OBM(組織行動マネジメント)に基づく組織づくりの特徴の一つは、 結果だけでなく、その結果につながる行動にも注目することです。 例えば、発達障害のある子どもに支援を提供する組織であれば、 クライアントや保護者の満足度、支援の成果などを大切にしているはずです。 これは応用行動分析学の実践に欠かせない社会的妥当性であり、 組織として追求すべき重要な成果です。 しかし、成果だけを評価対象にしてしまうと、 職員のパフォーマンスを十分に引き出せないことがあります。 例えば、「クライアント満足度が一定以上であれば、冬にボーナスを支給する」という 制度を導入したとします。 ある支援員Aさんは、質の高い支援を継続して提供していました。 しかし、同じクライアントを担当する別の支援員Bさんは、 十分な質の支援を提供できていませんでした。 さらに、クライアントの都合で支援セッションのキャンセルが頻繁にあり、 必要な支援量も十分に確保できなかったとします。 このような状況では、Aさんがどれだけ質の高い支援を提供していても、 期待した支援効果は得られず、クライアント満足度

冨樫 耕平
7月7日読了時間: 3分


本当に必要なのは、追加の研修・トレーニングでしょうか?
組織で職員のパフォーマンスに課題があるとき、 よく検討される解決策のひとつが研修やトレーニングです。 例えば、繰り返し指導やリマインドを行っているにもかかわらず、 職員がルールどおりに記録を残さない場合、 「記録の取り方を理解していないのではないか」と考え、 研修を実施することがあります。 しかし、このような課題の解決に、本当に追加の研修が必要なのでしょうか? 1.まずは原因を分析する パフォーマンスの改善には、まず原因を客観的に分析することが重要です。 もちろん、知識やスキルの不足が原因であれば、研修やトレーニングは有効です。 しかし、実際にはそれ以外の要因が影響していることも少なくありません。 例えば、 記録するための時間が確保されていない 必要なツールが整っていない 記録してもしなくても特に違いがない このような状況では、いくら研修を繰り返しても改善は限定的でしょう。 2.ROI(投資収益率)を考える 研修には時間も費用もかかります。 特に中小規模の組織では、限られた資源を有効に活用するため、 ROI(投資収益率)の高い解決策を選ぶことが重

冨樫 耕平
7月4日読了時間: 2分
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