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プレーヤーからコーチへ― 指導者が育たない組織に共通する課題とは ―
プレーヤーからコーチへの移行は、組織にとって重要な課題 多くの組織では、現場の仕事ができる職員に対して、 「新人や後輩を効果的に指導できる人になってほしい」と期待しています。 つまり、優秀なプレーヤーから、優秀なコーチ(指導者)への成長です。 しかし、このような移行がうまくいかない組織は少なくありません。 指導者が育たなければ、一部のベテラン職員に負担が集中します。 その結果、外部研修に頼らざるを得なくなったり、 限られた指導者が疲弊し、バーンアウトのリスクが高まったりします。 また、現場の仕事ができるようになった職員が、 「自分はもう十分できる」と感じてしまえば、 継続的な成長も止まってしまいます。 さらに、効果的な指導方法を知らないまま指導する立場になると、 曖昧な指示や精神論、叱責を中心とした 非効果的・効率的な指導が行われることがあります。 その結果、新人職員が十分に成長できなかったり、 ストレスを抱えたり、場合によっては 休職や離職につながることもあります。 なぜ優秀なプレーヤーは、優秀な指導者になれないのか 理由はさまざまですが、大き

冨樫 耕平
3 日前読了時間: 5分


理論を「実践」に変える科学― 行動分析学が半世紀以上成果を生み続ける理由 ―
「理論はわかった。でも、現場ではうまくいかない」。 教育、医療、福祉、企業など、 さまざまな現場で耳にする言葉です。 優れた理論があっても、 それだけで人や組織が変わるわけではありません。 では、理論を実践につなげるには、何が必要なのでしょうか。 以前の記事でご紹介したように、 科学には大きく三つの理解の水準があります。 記述(Describe) 予測(Predict) 統制(Control) 行動分析学が目指しているのは、この三つ目である統制です。 つまり、「なぜそうなるのか」を説明したり、 行動を予測したりするだけでなく、望ましい行動を実際に増やし、 その変化を客観的に示すことを重視しています。 この考え方は、応用行動分析学(Applied Behavior Analysis: ABA)の 中核でもあります。 ABAでは、基礎研究によって明らかになった、 生物種を超えて共通する行動の原理を活用し、 社会的に重要な行動の改善に取り組んできました。 例えば、自閉スペクトラム症や 知的発達症のある子どもたちへの支援では、 日常生活に必要なスキルを効

冨樫 耕平
7 日前読了時間: 3分


「Employee of the Month」は、本当に人を育てるのか― ABA・OBMから考える表彰制度 ―
多くの組織では、優れた従業員を表彰する制度があります。 「Employee of the Month」 「優秀社員賞」 「Teaching Excellence Award」 これらの制度は、優れた成果や望ましい行動を評価し、 そのような行動を増やすことを目的として導入されています。 しかし、本当にその目的は達成されているのでしょうか。 組織行動マネジメント(OBM)の第一人者であるAubrey Danielsは、 著書 Oops! 13 Management Practices That Waste Time and Money の中で、 「Employee of the Month」のような制度には、注意が必要だと指摘しています。 その理由は、一人の従業員だけを表彰すると、 その人の行動は強化される一方で、 他の多くの従業員は強化されないからです。 さらに、「誰が一番か」を競う制度は、 従業員同士の競争を生みやすくなります。 もちろん、適度な競争が悪いわけではありません。 しかし、本来競争すべき相手は、同じ組織で働く仲間ではなく、 組織の外に

冨樫 耕平
7月28日読了時間: 2分


組織改善は、なぜ「行動科学」から始めるのか― 再現できる改善の条件 ―
組織が行うことには、必ず人の行動が関係しています。 会議をする。 AIが出した情報を選択し、共有する。 商品を開発する。 顧客に対応する 新人を育成する。 チームを管理する。 これらはすべて、人の行動です。 そして、それらの行動の積み重ねが組織をつくり、 組織が提供するサービスや製品、そして成果へとつながっています。 だからこそ、組織を改善したいのであれば、 人の行動を理解することが欠かせません。 しかし、理解するだけでは十分ではありません。 本当に重要なのは、人の行動に影響を与えている要因を明らかにし、 それを変えることで、実際に行動を変えられることです。 今日、パフォーマンス向上や組織改善に関する情報や手法が数多く存在します。 しかし、その中には科学的根拠が十分ではないものも少なくありません。 また、人の行動を対象とする科学であっても、 行動を説明したり予測したりすることに重点が置かれ、 実際に行動を変えることまでは目的としていないものも少なくありません。 科学には、大きく三つの理解の水準があるといわれています。 記述(description

冨樫 耕平
7月28日読了時間: 3分


「もっと質問してほしい」だけでは変わらない ― ABA・OBMから考える取締役会の行動デザイン ―
取締役会では、本当に十分な質問が行われているでしょうか。 先日、ある経営者の方から、 「取締役会では前提を疑う質問が少ない」という興味深いお話を伺いました。 例えば、 本当にこのプロジェクトを承認すべきなのか。 他にもっと良い選択肢はないのか。 想定されるリスクは十分に議論されたのか。 このような質問は、企業にとって重要な意思決定を行ううえで欠かせません。 しかし、実際には十分に行われないことがあるそうです。 なぜでしょうか。 その背景には、「質問しない方が得をする」という行動の結果が 存在している可能性があります。 例えば、 質問しなければ会議が早く終わる 他の役員と対立せずに済む 「細かい」「面倒だ」と思われることを避けられる このような結果が繰り返されると、 「質問しない」という行動が維持されやすくなります。 一方で、質問をすることで、 他の役員も同じ疑問を抱いていたことが明らかになったり、 多様な視点から議論が深まったりすることで、 より良い意思決定につながる可能性があります。 では、取締役会で質問する文化を育てるには、 どのような工夫が

冨樫 耕平
7月24日読了時間: 4分


多くの場合、問題は「人」ではなく「システム」にある― DemingとABA・OBMに共通する考え方 ―
「もっと頑張ってほしい」 「もっと責任感をもってほしい」 「なぜ何度も注意しても改善されないのかわからない」 職場で問題が起きると、このような言葉が聞かれることがあります。 しかし、品質管理の第一人者であるW. Edwards Demingは、 多くの問題は個人ではなく、システムに原因があると考えました。 同じ仕事で、同じミスが繰り返されたり、 多くの人が同じようにつまずくのであれば、 それは個人の能力や意欲ではなく、仕事の進め方や教育、 フィードバック、業務プロセスなど、 環境や仕組みに改善の余地があるのかもしれません。 もちろん、特定の人によって問題が引き起こされることがあります。 しかし、失敗する人に問題があると決めつけてしまうと、 本当に改善すべきシステムの問題を見逃してしまいます。 人を責めるのではなく、仕組みを改善する。 この視点は、ABAやOBMにも共通する考え方です。 人が能力を発揮しやすい環境を科学的に設計すること。 それが、私たち行動ソリューションズが大切にしている考え方です。

冨樫 耕平
7月21日読了時間: 1分


観察は『監視』ではない― 行動科学における測定と正の強化の考え方 ―
行動科学を活用して個人や組織のパフォーマンスを向上させるうえで、 客観的なデータは欠かせません。 しかし、「仕事を観察する」、「データを測定する」といった 取り組みを導入しようとすると、現場で抵抗が生じることがあります。 なぜでしょうか? その理由は様々ですが、よくみられる理由のひとつは、 多くの職場で「観察」が、パフォーマンス改善のための指導、 ミスの指摘、問題点の確認などと結び付いているからです。 例えば、上司が現場を観察した後に、 改善点を指摘する ミスやルール違反について指導する 「次から気を付けてください」とフィードバックする といったやり取りが行われることは少なくありません。 また、普段の良い実践には気づかない、 あるいは、十分に見ようとしない一方で、 問題が起こったときだけ「指導のために観察する」という場面も少なくありません。 もちろん、こうした指導が必要な場面もあります。 しかし、観察のたびに改善点や問題点ばかりが取り上げられると、 「観察される=問題を指摘される」という関係が生まれやすくなります。 一方、行動分析学では、...

冨樫 耕平
7月18日読了時間: 2分


なぜ私がOBM(組織行動マネジメント)を学び、実践しているのか
最近、このブログでは、Organizational Behavior Management (OBM:組織行動マネジメント)について書くことが増えています。 「なぜ最近、組織について発信しているのだろう?」 そう感じている方もいらっしゃるかもしれません。 実は、私がOBMに興味を持ったのは最近のことではありません。 2016年、私はフルブライト奨学金をいただき、 アメリカのWestern Michigan University(WMU)へ留学しました。 留学中には、ABAに関する知識やスキルを深めるとともに、 OBMについても体系的に学びました。 当時、私はすでにBoard Certified Behavior Analyst(BCBA)の資格を取得し、 子どもやご家族への支援に携わっていました。 また、医療、教育、福祉の現場で活動する中で、 クライアント一人ひとりに提供される直接支援の大切さを実感していました。 一方で、その頃から私は、もう一つの重要な課題を感じていました。 それは、「支援を届ける人」と「その人たちを支える組織」です。...

冨樫 耕平
7月15日読了時間: 3分


「For」ではなく「With」の組織改善
組織の仕組みを見直す際、「専門家に任せた方が早い」と考え、 コンサルタントに制度や仕組みのデザインを一任するケースがあります。 しかし、私たちはそのような 「for the organization(組織のために行う)」アプローチよりも、 「with the organization(組織とともに行う)」アプローチをおすすめしています。 その理由は、どれほど経験豊富なコンサルタントであっても、 その組織ならではの文化や歴史、人間関係、業務上の細かなニュアンスまで すべてを理解することは難しいからです。 その結果、理論的には優れた仕組みであっても、現場では納得感が得られず、 十分に機能しないことがあります。 一方で、組織のメンバーとともに現状を分析し、課題を整理し、 仕組みを設計していくことで、現場の実情に合った実践的な仕組みを構築できます。 また、自分たちで考え、意思決定に参加した仕組みは受け入れられやすく、 導入後も継続して改善していきやすいという大きなメリットがあります。 効果的なコンサルタントは、答えを一方的に提供する存在ではありません。.

冨樫 耕平
7月15日読了時間: 2分


パフォーマンスを高める組織は、結果だけを評価しない
OBM(組織行動マネジメント)に基づく組織づくりの特徴の一つは、 結果だけでなく、その結果につながる行動にも注目することです。 例えば、発達障害のある子どもに支援を提供する組織であれば、 クライアントや保護者の満足度、支援の成果などを大切にしているはずです。 これは応用行動分析学の実践に欠かせない社会的妥当性であり、 組織として追求すべき重要な成果です。 しかし、成果だけを評価対象にしてしまうと、 職員のパフォーマンスを十分に引き出せないことがあります。 例えば、「クライアント満足度が一定以上であれば、冬にボーナスを支給する」という 制度を導入したとします。 ある支援員Aさんは、質の高い支援を継続して提供していました。 しかし、同じクライアントを担当する別の支援員Bさんは、 十分な質の支援を提供できていませんでした。 さらに、クライアントの都合で支援セッションのキャンセルが頻繁にあり、 必要な支援量も十分に確保できなかったとします。 このような状況では、Aさんがどれだけ質の高い支援を提供していても、 期待した支援効果は得られず、クライアント満足度

冨樫 耕平
7月7日読了時間: 3分


本当に必要なのは、追加の研修・トレーニングでしょうか?
組織で職員のパフォーマンスに課題があるとき、 よく検討される解決策のひとつが研修やトレーニングです。 例えば、繰り返し指導やリマインドを行っているにもかかわらず、 職員がルールどおりに記録を残さない場合、 「記録の取り方を理解していないのではないか」と考え、 研修を実施することがあります。 しかし、このような課題の解決に、本当に追加の研修が必要なのでしょうか? 1.まずは原因を分析する パフォーマンスの改善には、まず原因を客観的に分析することが重要です。 もちろん、知識やスキルの不足が原因であれば、研修やトレーニングは有効です。 しかし、実際にはそれ以外の要因が影響していることも少なくありません。 例えば、 記録するための時間が確保されていない 必要なツールが整っていない 記録してもしなくても特に違いがない このような状況では、いくら研修を繰り返しても改善は限定的でしょう。 2.ROI(投資収益率)を考える 研修には時間も費用もかかります。 特に中小規模の組織では、限られた資源を有効に活用するため、 ROI(投資収益率)の高い解決策を選ぶことが重

冨樫 耕平
7月4日読了時間: 2分


ルーチンは「原因」ではなく「結果」である
人のパフォーマンス向上に必要なこととして、「ルーチン化」が重要だと言われることがあります。例えば、これまで訪問後に記録を取っていなかった営業担当者が、訪問後に毎回記録を取るようになった場合、その原因を「ルーチン化(習慣化)したからだ」と説明することがあります。 しかし、これは誤った行動の原因分析であり、より具体的には循環論法の一例です。 ルーチン化そのものがパフォーマンスを向上させるわけではありません。ルーチンとは、ある行動や行動の連鎖が繰り返し生じる傾向を指す言葉に過ぎません。 ここで重要なのは、「なぜそのルーチンが続いているのか」という点です。 行動分析学では、人の行動はその結果によって影響を受けると考えます。つまり、ルーチンが維持されている背景には、その行動を維持する結果が存在するのです。 例えば、営業担当者が記録を取らずに帰宅しても何も問題が起こらないのであれば、記録を取らずに早く帰宅する行動が選ばれやすくなります。また、記録を取ることで帰宅時間が遅くなるのであれば、その行動は起こりにくくなるでしょう。 一方で、記録を取るための時間が勤務

冨樫 耕平
6月21日読了時間: 2分


なぜ組織の問題は個人への指導だけでは解決しないのか
人の行動の多くは、その結果に影響を受けます。 例えば、新人職員が上司に「おはようございます」と挨拶をしたとします。上司から「おはよう」と返してもらえたり、笑顔で応じてもらえたりすれば、その新人職員は今後も挨拶を続ける可能性があります。一方で、挨拶をしても何の反応も得られない状態が続けば、挨拶は次第に減っていくかもしれません。 このように、行動分析学では改善したい行動と、その行動の前後で起きている出来事を分析します。そうすることで、行動を客観的に理解し、行動変容につながる支援を行うことができます。このような行動と環境との関係を「行動随伴性(behavioral contingency/behavioral three-term contingency)」と呼びます。 しかし、組織を分析する場合には、個人の行動随伴性だけを理解しても十分ではありません。 なぜなら、組織が提供するサービスや商品は、多くの人の行動が連鎖して生み出されているからです。利用者からの注文の受付、部署や職員同士の情報共有、商品の生産、品質管理、商品の配送など組織には数多くの行動が

冨樫 耕平
6月20日読了時間: 2分
「この関わりでいいのかな…」支援に迷うあなたへ
「この関わりでいいのかな……」 子どもと向き合う支援の中で、ふとそんな不安に襲われることはありませんか? 私自身、何度もそう感じてきました。 一人ひとりの子どもにとって本当に必要な支援ってなんだろう? 頑張っても成果が出ない。...

冨樫 耕平
2025年4月30日読了時間: 3分


講演予定(2024年11月30日、土曜日)
ABA情熱セミナーにてセルフマネジメントについてお話をさせていただきます。 尚、以前作成・公開されたポスターには「PBSの立場から」と記載があったようですが、誤りです。 I am delighted to announce my upcoming presentation...

冨樫 耕平
2024年7月3日読了時間: 1分


つみきの会の定例会と全国集会
NPO法人つみきの会の東京定例会(2023/5/21)と 全国集会(大阪;2023/6/11)に講師としてご招待いただき、 参加してきました。 東京定例会には、セラピーを実践されている 保護者やセラピストの皆様がご参加されていました。...

冨樫 耕平
2023年6月12日読了時間: 3分


子ども達を「決めつける」行為について
よく「発達障害の診断を受けた子ども達は、 視覚優位だから、絵や写真を使って説明してあげたり、 スケジュールを示すと良い」等と言う人達がいる。 発達障害について書かれた本を手に取ると、当たり前のように 発達障害の子ども達は視覚優位、視覚的情報が効果的等と書かれている。...

冨樫 耕平
2022年10月28日読了時間: 3分


『朝勉パフォーマンスマネジメント』が100回の実施を迎えました!
行動ソリューションズでは、毎日、平日5時から6時に 「朝勉パフォーマンスマネジメント」(略称:朝勉)を実施してまいりました。 その朝勉も本日で、100回目の実施を迎えました! ここまで実施を続けられてきたのも、 朝勉にご登録・ご参加いただいている皆様のおかげと感謝しておりま...

冨樫 耕平
2021年11月2日読了時間: 2分
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