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入園前はなぜこんなに忙しい?― 保護者と保育園、双方の負担を減らすプロセス設計 ―

10月2日
読了時間: 6分

保育園への入園が決まると、保護者にも、受け入れる保育園にも、

さまざまな準備が必要になります。


しかし、このプロセスがうまく設計されていないと、

保護者だけでなく、保育園にとっても大きな負担になることがあります。


たとえば、入園が初登園の10日前に決まり、

入園前の打ち合わせが3日前に設定されるケースを考えてみましょう。


保護者は短い期間で、園で必要となる

さまざまな物を準備しなければなりません。


必要な物は園によって異なります。

また、持ち物に名前を書く位置など、細かな指定がある場合もあります。

そのため、入園先が決まっても、園から具体的な情報が提供されるまでは

準備を始めにくいことがあります。


一方、保育園側も、人手に余裕があるとは限らないなかで、

新しく入園する子どもの受け入れ準備を進めなければなりません。


つまり、保護者も保育園も、

限られた時間などの資源のなかで準備を進めています。


入園前の打ち合わせだけで十分でしょうか?


入園前の打ち合わせでは、園での生活や持ち物など、

さまざまな情報が保護者に伝えられます。


しかし、打ち合わせには、

入園する子どもが一緒に参加することもあります。


慣れない場所で子どもが泣いたり、落ち着かなかったりすることもあるでしょう。

そのような状況では、保護者が説明に十分集中できなかったり、

泣き声などの周囲の音によって、

お互いの声が聞こえにくくなったりするかもしれません。


さらに、その場で初めて多くの資料を渡された場合、

保護者は説明を聞きながら内容を理解し、

疑問点を整理し、

必要なことを確認しなければなりません。


その結果、打ち合わせの後になって、


  • 「これはどこで購入すればよいですか?」

  • 「名前はどこに書けばよいですか?」

  • 「これは毎日必要ですか?」

といった疑問が出てくるかもしれません。


初登園まで時間がなければ、

保護者も急いで園に確認する必要があります。


そして保育園側では、

通常の保育業務や新入園児の受け入れ準備を進めながら、

その問い合わせにも対応することになります。


保護者も大変ですし、職員も大変です。


では、どちらかがもっと頑張ればよいのでしょうか。


「人」ではなく「プロセス」を見てみる


このような場合、保護者に「もっと早く準備してください」と伝えたり、

職員に「もっと丁寧に説明してください」と求めたりするだけでは、

問題は十分に解決しないかもしれません。


そもそも、必要な情報が保護者に届くタイミングや、

入園までの準備の流れそのものに、

改善できるところはないでしょうか。


たとえば、現在の流れが、


入園決定

→ 入園前打ち合わせ

→ 資料の説明

→ 保護者による準備

→ 初登園

となっているとします。


もし入園決定から打ち合わせまでに数日あるのであれば、

入園が決まった時点で、持ち物の一覧や入園のしおりなど、

すでに確定している情報を共有することも考えられます。


すると保護者は、打ち合わせを待たずに

準備できるものから準備を始められます。


また、事前に資料を読む時間があれば、

分からないことを整理してから

打ち合わせに臨むこともできます。


そうすると、打ち合わせは、

「初めて見る情報を一から説明する時間」ではなく、

重要な点を確認したり、個別の事情について話し合ったり、

保護者からの質問に答えたりする時間として、

より有効に使えるかもしれません。


打ち合わせの方法も見直せるかもしれません


見直せるのは、情報を提供するタイミングだけではありません。


打ち合わせそのものについても、


  • 事前にどの情報を共有しておくのか

  • 当日は何を確認する必要があるのか

  • 保護者からの質問をどのように確認するのか

  • 子どもが一緒でも話しやすい環境をつくれるか

  • 打ち合わせ後に保護者が情報を確認できるようになっているか

など、さまざまな点を検討できます。


もちろん、すべての園に同じ方法が適しているわけではありません。


園児数、職員配置、入園決定から初登園までの期間、

自治体との連携、現在使用しているシステムなど、

それぞれの園によって条件は異なります。


重要なのは、特定の方法をそのまま導入することではなく、

現在のプロセスのどこで負担や手戻りが生じているのかを確認することです。


本当に改善したのかを確認する


そして、プロセスを変更したら、それで終わりではありません。


変更によって、

本当に保護者や職員の負担が減ったのかを確認する必要があります。


たとえば、


  • 入園前の問い合わせは減ったか

  • 準備不足による追加対応は減ったか

  • 打ち合わせに必要な時間は変わったか

  • 職員が入園準備に費やす時間は変わったか

  • 保護者にとって必要な情報が分かりやすくなったか

などを確認することができます。


もし期待した改善が見られなければ、

何がうまくいかなかったのかを分析し、さらにプロセスを見直します。


一度で完璧な仕組みをつくる必要はありません。


実施し、確認し、必要に応じて改善する。

このサイクルを繰り返すことで、

それぞれの園に合った仕組みをつくっていくことができます。


毎月の「バタバタ」を当たり前にしない


入園前の慌ただしさは、

「この時期は忙しいから仕方がない」と

考えられてしまうこともあるかもしれません。


しかし、同じような混乱が繰り返し起きているのであれば、

それは個々の保護者や職員の問題ではなく、

プロセスを見直す機会かもしれません。


保護者にとって、入園は新しい生活が始まる大きな出来事です。

その最初の経験が分かりやすく、安心して準備できるものであれば、

園との関係づくりにもプラスになるでしょう。


そして保育園にとっても、問い合わせや手戻りが減れば、

限られた職員の時間を、子どもの受け入れや保育など、

より重要な仕事に使うことができます。


反対に、非効率なプロセスによる負担が繰り返されれば、

職員の疲労やストレスにつながります。

そうした状態が長く続けば、

バーンアウトや離職にも影響する可能性があります。


保護者の満足度、職員の働きやすさ、業務の効率性。


これらは別々の問題ではありません。


保護者と職員の双方にとって利用しやすいプロセスをつくることは、

保育園のサービスの質や組織運営を考えるうえでも重要な取り組みです。


忙しい現場だからこそ、「もっと頑張る」だけではなく、

今の仕事の流れそのものを見直してみることが必要なのかもしれません。


行動ソリューションズでは、

応用行動分析学(ABA)と組織行動マネジメント(OBM)を活用し、

個人のパフォーマンス向上から、

それを支える組織の仕組みづくりまでを支援しています。


組織のなかで繰り返し生じる問題について、

個人の努力だけに原因を求めるのではなく、

業務の流れや環境を含めて分析し、

実行可能な改善策を組織の皆様と一緒に検討します。


冨樫 耕平, Ph.D., BCBA-D

行動ソリューションズ

 
 
 

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