データをたくさん集めれば、組織は良くなるのか― AI時代だからこそ重要になる「何を測るか」という問い ―

技術の進歩によって、データを収集することは、
以前よりもずっと身近になりました。
例えば、AIを活用して人の行動を測定したり、
膨大なデータの中から意味のあるパターンを
見つけたりすることも可能になっています。
組織の管理者や経営者であれば、
意思決定や改善におけるデータの重要性を
実感している方も多いでしょう。
しかし、ここで一つ重要な問題があります。
「測定できるものが増えた」ことと、
「測定すべきものが分かる」ことは、まったく別です。
取得できるデータがたくさんあり、
AIなどを使って比較的低いコストで分析できるようになったからといって、
とにかく多くのデータを集めればよいわけではありません。
大切なのは「測れるもの」ではなく「測るべきもの」
Brown(2000)は、
組織におけるパフォーマンスの測定について、
組織の成功に必要な要因、すなわち
主要なビジネスドライバー(key business drivers)と
結びついていることが重要だと述べています。
また、重要性の低い多数の変数を測定するのではなく、
本当に重要な少数の主要変数(vital few)に
焦点を当てることを提案しています。
これは、現在のように大量のデータを取得できる時代だからこそ、
さらに重要な考え方ではないでしょうか。
例えば、
「取得できるから」
「AIで分析できるから」
「他社も測っているから」
という理由だけでデータを集めても、
そのデータが組織の目標や成果と結びついていなければ、
改善に役立つとは限りません。
むしろ、測定、入力、管理、分析に多くの時間や費用を使いながら、
意思決定にはほとんど役立たないということも起こり得ます。
「何を測るか」は、意外に難しい
例えば、
離職率を下げたい。
顧客満足度を高めたい。
生産性を向上させたい。
こうした成果を測定することは重要です。
しかし、その数字を眺めているだけでは、
必ずしも「何を変えればよいのか」は分かりません。
また、測定できそうなものを手当たり次第に測っても、
本当に重要な情報が見えてくるとは限りません。
だからこそ、
組織にとって本当に重要な成果は何なのか。
そして、
その成果につながる重要な要因は何なのか。
を考えたうえで、測定する対象を選ぶ必要があります。
「データを採ること」よりも前に、
「何のために、そのデータを採るのか」
を明確にすることが重要なのです。
OBMの強みは「データを採ること」だけではない
組織行動マネジメント(OBM)では、
客観的な測定とデータを重視します。
しかし、OBMの強みは、
単に「人の行動を測定すること」ではありません。
組織が目指す成果と、
現場で起きている人のパフォーマンスをつなげて考えることにも、
大きな特徴があります。
組織が目指しているものは何か。
その実現に関係する重要なパフォーマンスは何か。
そして、改善のためには何を測定することが役立つのか。
こうした問いを通して、本当に重要な測定対象を絞り込んでいきます。
AI時代だからこそ、「何を測るか」が重要になる
AIによって、これから測定できるものはさらに増えていくでしょう。
しかし、技術がどれだけ進歩しても、
「組織にとって何が重要なのか」
という問いそのものがなくなるわけではありません。
むしろ、測定できるものが増えれば増えるほど、
「測れるから測る」のではなく、
「重要だから測る」という判断が必要になります。
行動ソリューションズでは、
応用行動分析学(ABA)とOBMの知見を活用し、
単にデータを収集するのではなく、
組織が目指す成果を踏まえながら、
何を測り、何を改善することが重要なのかを
組織の皆様と一緒に考えます。
データを増やすことが目的なのではありません。
組織にとって本当に重要なものを見つけ、測り、
目に見える改善につなげること。
そのために、私たちは測定を行います。
AIによって、これまで以上に多くのデータを
簡単に集められるようになった今だからこそ、
「何を測れるか」ではなく、
「何を改善するために測るのか」を考えることが、
ますます重要になるのではないでしょうか。




コメント